<<back to index

今回8月20−21の親子リベンジアタック記録

Ooops Diaryからの目前のリベンジ日記へ行ってみる>>>
以下しばしお待ちくださいませ。
小富士散策&須走浅間神社参拝
山小屋のお話<大陽館&菊屋>

8月19日(木)富士アタック前日〜富士へ

眠れない。親子して眠れない。こんなんじゃやばいぞ!と怒りながらも、怒られながらもニヤニヤ、ドキドキ。結局息子は12時半過ぎになんとなく眠ったよう。ワシは・・・・・結局ほぼ不眠で目覚ましの音を聞いた。天気が気になって仕方がなかった。毎回歩き出す前、出かける時にシップを足首と足の裏に貼って、アンメルツヨコヨコを首にたっぷり塗って、気合を入れて出るようになっていたので、今回もそうする。息子にも同じようにやってやる。気合が入ると言うか引き締まると言うか。なかなか気持ちが良い。パンを食べて、AM6:45のバスに乗るためにAM6:00家を出る。

が!平日金曜と言うことを忘れていたので、いきなり出鼻をくじかれる。バスは7:15までない。1時間道端に座り込み、多分あーだーこーだーと富士山を登るイメージを息子に話す。きっと空いているだろうと思われたバスは通勤の人々で結構空席もないくらい。『お!僕!富士山登るのか!!』とおじさんたちが席を詰めてくれて、やっと座れる。バスに乗り東名厚木を過ぎるころだろうか??バスの中が一瞬騒然とした。わしは1番後ろの席だったのでよく見えなかったけど、隣の斜線のトラックが横転したらしい!ワシが身を乗り出しバスの前方を見ると横倒しになったトラックからもくもくと白い煙がたくさん出ている・・・・・運転手は・・・・・・・?と乗り込み1時間位したところで息子の車酔いスタート。いつも酔うんだよな。。。特にバス。だんだん口数が減ってくるとバス酔いが進んでいる証だ。(>_<)くくくっ。そういうワシも普段車に乗りなれないので、少し車酔いをする。どこまでも良く似た親子だ。一卵性親子と言うやつだろうか?シングルなのでそうなりやすいのだろうが、こんなところまで・・・・

御殿場駅に着いた。着いてバスを降りるなり“ゲロ!”と言ってトイレに駆け込む・・・・・横転事故といい車酔いゲロといい先が思いやられる。。。嫌な予感でこっちまで気持ち悪くなってくる・・・・今回は若が居ない・・・2人っきりで乗り越えられるのかしら?オエ、オエ、オエ、、オエ〜〜〜!!そんな風にばかり思っても居られない・・・叱咤激励が始まった・・・・・『ヲイ!こら〜〜〜っ!しっかりしろ!!ゲロくらいなんだ!!!ゲロくらいでダメダメちゃんなら今すぐ帰るぞ!!!どうすんだ!ゴルァ〜〜〜』『・・・・・・・・・・行きたいよ。登りたいよ・・・・・』『よし!なら気合を入れろ!!!行くぞ!!もうひとつバスに乗るぞ!!!』・・・と乗り込んだ須走口5合目行き。高速バスはちょうどトイレの前のタイヤの上だったのも良くないと思い、今度はタイヤの上は避けよう・・・・と思いつつ、乗り込んだ瞬間忘れ、前から2番目のタイヤの上・・・・・(>_<)走り出して、やばいやばい、、、と思っていたのもつかの間、目の前にドッバーーーン!!と富士山のお出迎えだ!やさしげな富士山がお出迎えだ〜と言うと、息子の気分が変わる。『ほんとだ、ほんとだ、すごいねっ。あそこの一番上に行くんだね〜』ニマニマが止まらない顔になっている。

須走5合目に着くまでずっと見え続けていた富士山が着くと同時に見えなくなった。ほら富士山は不思議さん。あとは登ってからしか見せてくれないのね。。。しばし5合目で高度慣らしの為止まる事に。菊屋さんに泊まろうというのもありで、菊屋さん前で休憩をしていると、そこへ富士山の出入り業者(たぶんプロパンガス屋さん)の最新ベンツの鍵をぷらつかた親父さんとその知り合いのパンチな若いの2人が同じテーブルにどかどかとやってきた。(>_<)・・と、思いつつも、移動せずそこに居ると『何、今からのぼんのかネ〜チャン!坊主と二人でのぼんのか!』と話しかけられた。(>_<)くぅ〜〜〜っと思うも、『はい〜〜今から登りますぅ』『そうかそうかーやるね〜ネ〜チャン。じゃーちょっと待ってろ、ばーちゃん!ばーちゃん!このネ〜チャンとぼうすにきのこそば出してやれ〜!ん?ネ〜チャン?ビール飲むか!ビール!』『あ、いやいや、、これから登るんでそんな、、、、、』ホステス気分がしないでもない・・・・・きのこそば・きのこの煮物・ししとうの煮物・たまねぎときゅうりのお漬物・おにぎり。サルも調子に乗ってバクバク食べている・・だ、だいじょぶなのか・・・・さっきゲロはいてた奴はどこへ行ったんだ?ワシも結構腹が膨れてしまった・・・パンチのに〜ちゃんの一人はワシと同じ年で山中湖に別荘を持ってるという・・・なんだかわかんないがみんな地元周辺の金持ちらしいね。はい。離婚して4年生になる子供が奥さんのほうに居るが、『あの馬鹿女が合わせてくれないんだよぅ〜ぼうす兄ちゃんの子供になるか!!』かなり気に入られた息子であった。。。富士山にまつわる、あんまり聞けない人間模様なども聞けて、なんだかやっぱ凄い山の傍に居る人達だ、、やっぱすげーなーなんて思った。。この親父たちに気に入られたおかげで翌日ラッキーが待っていたのはまだ知らない。

酔っ払い3人に見送られ意気揚々と古御岳神社、登山道へと向かうとそこはさっきまでとはうって変わった(>_<)楽園への入り口。きれいな蝶たちがヒラヒラと舞っていて『あらよっ!』黒アゲハの道案内だ!とサルも喜んでいる。ニマニマと登山道へ入る。須走登山道はしばらく森の中を進んでいけるから気が紛れていいか・・・なんて思っていたが、なんというか、森を見てゆっくり歩いていけばいいなんていう余裕はなく、なんというか、目先の目標が見えない分、ワシのような性格には小さいことが気になって仕方がなくなる道だった。多少岩を登るようなところがあったものの、その先は延々木の間を通り、時々見える目先の目標に『おおお!』と喜び。途中からは木もなくなり、歩きやすい登りが続き、時折大きな石がゴツゴツの道もあった。あっという間に最初の山小屋到着だった。御殿場口の時とは大違いだ。。。小屋毎に大休憩10分やおトイレをし、あとは立ち休憩のみ。あ、時々ゲロ休憩で座る(>_<)小屋毎に休憩とするのはとてもよいし、結果的に楽だった。本5合、6合と子供が嫌になる距離でもないし、御殿場口の時のように見えてるのに2時間はつかないなんて事もなく、ワシも凄く楽だった。サルは相変わらず目標が見えると『あ!後ちょっとだね!』というが『いや、あとちょっとに見えてもいつもつかないでしょ。見えてもまだまだつかないぞ!と思いなされ。』と焦る気持ちをぶった切る母!山小屋で焼印を押してもらうたびに、『お!御殿場口の杖だね!!僕御殿場口行ったの?すごいね〜〜〜』と聞かれ『夜の嵐でリタイアしたけど7合目の山小屋に泊まったんです。今日はリベンジです!!』とゲロを吐きながらも嬉しそうに答えている、ご満悦な息子(>_<)

焼印は1個200円。途中の小屋は混雑とぐったりで押してもらっていないところもあるし、素通りした山小屋もある。今思うとちょっと惜しかったな、、、次に行った時は押してもらっていないところを押してもらおう。山小屋毎に二人で押してもらうとなると7個くらいあったかな<200円×7×2>トイレも1人づつ料金で下は100円上に行くごとに200円。なんだかんだと結構使ってしまう。食べ物も頂上のラーメンは800円カップラーメンも800円。ペットボトルは500円。食べる物は常に一人分を頼み二人で食べて、足りなければ他にまた食べる半ぶんこで食べる。あんまりガッツリ食べ込むと途中横っ腹が痛くなったりウンチをもよおしてしまったりと食べすぎはよくない。汗のかきやすいワシはいくら水分を取っても汗で出てしまうけど、サルは汗をかきづらい分おしっこの回数が半端じゃない。常にたちしょんさせるのも気が引けるので、その度に『ちょっとだけ我慢しろ!!!』と言ってたけどいいのかしら。。。?元気になりだすサルはほんとよく食べる。吐きながらも食べる(>_<)もう、、、よせ、、、、と言った感じだ。見てるこっちが気持ち悪くなってくる・・・

7合目に着く直前、サルの気力がうせ始める。涙が出始める(ToT)(つらいね。つらいよね。)と内心思いながらも、あとちょっとで泊まる宿につくんだよ!!!!6合目の山小屋ではまたうつらうつらも始まり、今が一番きつい時だ。得意の度を超えた叱咤激励はもちろん始まる(>_<)『お前ここまで来て帰るのか!それでいいのか!!!またリタイアでいいのか!!あとほんのちょっとであそこの山小屋について、お布団で寝られるんだぞ!今ここで歩けないって言ってる人が、今まで来た道を戻れるのか!!!』ぎゃーぎゃーぎゃー『行きたいよぅ〜登りたいよぅ〜』『ならしっかりしろ!!!少し座って休んでいいけど寝るなよ。寝たら今度歩き出す時死ぬほどつらいぞ!』なんとかかんとか歩き出す。叱咤激励とおだてを繰り返し、山小屋に向かう急な登りの岩の道をよいしょ、よいしょと登り、やっと7合目大陽館に着いた〜〜〜〜〜〜〜〜ニヤ〜〜〜〜〜〜〜〜と顔を見合わせる親子

大陽館は予約をしておいた。6時までにつけば夕飯にありつける。ハンバーグ定食にありつける!これだけを励みに登ってきたサル。でも、、もう、、、ネムネム・・・トイレに行き、もう一発ゲロリ。ウンチもブリリ。眠気はまだ治まらず、ちょっと話しかけないとクテッと寝こけている。この状況じゃ食べられないかもしれないと思い、夕飯は一人分にしてもらった。きっと寝ちゃって起きないだろう・・・と思っていたのに『お夕飯の準備ができましたぁ〜浜本さん〜高橋さん〜〜』と呼び始めるとムクリと目を覚ます・・・・おそろしか息子じゃ!!自分のお膳がないのを知ると『なんで!!なんで!!!なんで!!』と不満ムキムキで同じテーブルの人達に笑われる(>_<;)『いいよ、マミーと一緒に食べよう。ご飯とトン汁は追加できるから貰ってハンバーグは食べていいよ〜』と言うとほんとにほとんど食べてしまった。トン汁も感激するほどおいしくて、親子でおかわり。もう今から歩くこともない、トイレも宿泊客は使い放題(その代わりお掃除をする)心行くまで食べられるのよ〜〜〜〜〜(>_<)ワシはご飯もお代わり。ハンバーグとお漬物と煮物とトン汁。これがメニューよ。持ってきたパンもあとで食べた。ご飯を食べて少し休憩している時に景色を見ながらお楽しみおやつも食べた。

あったかいココアとコーヒーを頼み体の中もマッタリ。食べるだけ食べ、飲むだけのみ、用を足し、シップを貼りなおし、ホカロンをあっちこっちに装着し、布団に入る。気持ちいい、、、、御殿場口の小屋の布団よりあったかいし、軽い(>_<)6時半過ぎには親子で爆睡だ。山小屋でいろいろ気になって眠れないと言う人が多いようだけども、ワシら親子には隣が知らない人でも臭い足でもでかいいびきでも何も関係ない。心置きなく満足するまで横になれる幸せな眠りの時。それだけで感動ものだ。ニヤニヤ笑いながら眠りにつく親子。これだけ沢山の人が居るとウキウキさえしてくる。合宿気分っていうんですか?だってみな同じ富士山に登ろうという同志ですもの〜〜

10時頃だったか、、サルが一度トイレに行き、戻ってきてワシを起こす。『マミー星が凄く綺麗だよ〜〜ベイビー流れ星見ちゃった〜』と言うので、ムクッと起き、防寒着を着込ませ、ワシも着て、もう一回行こうと二人で少し星を見ていると、雲が出てきてしまった。サルは『寒いし睡魔がまだあるしもう見たからいいよ』と言って、布団に戻ってしまった。雲が出ている間にトイレを済まし、もっと沢山着込み、ホカロンをあとひとつ追加しCD類を持って再度外に出る。なかなか雲が流れない。一服しながら待つ。寒い。ひどく寒い。なんじゃこりゃ?今から頂上を目指す人・力尽きて大陽館に泊まらせてくれとお願いするも『満杯だからダメ』と断られ、半分泣きながら上を目指さざるをえない人。この時間に登るのはしんどいだろうな〜と思いながら眺める。登ってきた人はみんな気さくに挨拶する余裕はもうない(>_<)くくくくくっ。それに比べてこの余裕のワシ。星を見る為の雲引き待ちよ。うふうふ。と思っているとそんな意地悪な念が聞こえてしまったのか(>_<)通り過ぎるボロボロの人が『いいな・・・・』と言う感じで過ぎていく。『あらすんませんよ。がんばって』と心の中で。

小屋についてちょっと休んでいたら高山病が!!!!なんて人も数名居た様で異様なまでにしんどそうな顔をしていた。顔面蒼白。横になっても居られないようだ。寒い外にヨタヨタと出てきては水分補給をしたり、深呼吸をしたり、頭を抱えたりしている。ワシは何にもない。楽しくて楽しくてしょうがない。あっちウロウロこっちウロウロして、いい星ポイントを探す。すると『冒険禁止』と言う看板が目に入る。『ぷぷぷぷぷぷ。したくもなるよね。こんなに気持ちがいいんだもの〜』と一人看板を前にニヤニヤ立っていると、同じようにウロウロしていた人が後ろで同じようにニヤニヤしている。お互い顔を見合わせ(…ニヤ、、、ニヤニヤ、、、、)はっきり言ってきしょい。無言で見知らぬ人と”ニヤッ”そしておのおのまたウロウロが始まる。ワシもやっとナイススポットを見つけたので、そこに座り込む。しばらくすると明るい星が一つ。二つ見え始める。CD準備だ。もちろんオレグとブルガリアンと今回はチベット密教の音を・・・・オレグはラストにとっておく。チベット密教からスタートしてブルガリアン。そしてオレグだ。肌が痛くなるほど冷たい空気の中、星はよりいっそう輝きを増す。雲がまったくなくなり、遠くを見ると夜間登山者のライトが綺麗だし、街の明かりも何であんなにちらちら星のように綺麗なの?と言うくらい綺麗。上もキラキラ、下もキラキラ。どこを見てもキラキラチラチラ輝きながら揺れる明かり。

冷たい風はやまない。耳がとれそうなくらい痛い。それでも無心に星を見る。横になりながら星を見る。ヘッドホンで最大ボリューム。もうここには誰もいない。ワシ一人だけ。流れ星がいくつも流れ、その度に今日お誕生の赤ちゃんがいるんだねと思い『おめでとう』。ずっと見続けている星はほんとに綺麗に揺れながら輝く。なんであんなふうに輝くんだろう。。。。あの星はいったいどうゆう風になっているんだろう・・・・・あの星は流れない。。ずっとずっとずっと同じところで輝き続ける。あの星もいつか流れ星になっちゃうんだろうか?あと1億年したら流れ星になって生まれてくるんだろうか?あなたはだあれ?・・・・・・・寒さを感じなくなっている。CDが1枚終わるたびに現実に戻りブルブル震える。チベット密教の音は疲れ果てて登ってくる登山者の顔にぴったり合った。修行だね、まさに・・・・

もうそろそろ寒さで節々が痛くなってきたので、オレグを聞く。目を閉じても星が見える。オレグの声を聞きながら星を見ているとそのままスーーーっと星に近づけるような気がする。目を閉じて星を見る。意識はだんだん吸い上げられ、気管が気管でなくなりそうだ・・・・体の中心に頭のてっぺんからお腹の下まで大きな穴が開いたような、体中に冷たい空気が流れ込んだような気になり、あわてて目を開ける。目を開けて星を見る。ひとつの可愛らしい色のチラチラしている星が気になる。心の中で『聞こえる?』と聞いてみたりして・・・・(>_<)ひとつの星だけをじっと見ていると、目の錯覚でその星が動いてるように見えたり、もっともっと明るさを増すように見えたり、大きく見えてきたりする。錯覚でも幻覚でもこの目にはそう見えている。星とお話ができそうなくらいいろんな風に見えてくる。

横になった真上に見えるのは天の川。はっきりくっきり見える天の川。なんて綺麗なんだろうか。富士山上から見る山中湖が向こうの空に見えるような変な感覚と同じように、天の川もすぐそこにあるように見える。あそこまで歩いて何時間だろう?いやいや、、行けないって、、、(>_<)しかし、、オレグさん、、あなたって人はなんと言う声を持っているのよ・・・・・と思うと泣けてくる・・・・・神の声・地球の叫び・・・と称されるのがわかるわ。。。本当に、たぶんナマで、ここ、富士山で歌ったら空に届くはず。星や月にまで彼の声は絶対に届く。オレグの声にのって空にふわ〜〜〜〜っと舞い上がりそうな気分になる。ううううう、、、、、なんと説明していいかわからない。うるうるしてくる。。。また目を閉じて星を見る。泣きたくなるくらいの幸せな気持ちでいっぱいになる。目を閉じている自分がうっすら笑っているのがわかる。はたからみたらかなり怪しいが、いいのよ。いいの。今ワシはここに一人(>_<)これが一番やりたかったこと。2回富士山に登って、一番やりたいなと思っていた事。岩に頭をくっつけ座り、薄目を開けてゆっくり辺りを見回す。上を見ても下を見ても前を見ても後ろを見ても、キラキラ光る光。まるで宇宙にいるような、ポワンポワンと浮かんでいるような、そんな気持ちよさ。感激の涙。今ワシも星なのよ・・・・・”Jamaさん”ってお星様になったのよ(ToT)そう。いつかみんなお星様になる。がんばった人もがんばらなかった人も、大金持ちもホームレスも。みんないつか同じになる。今、生きてる間をどれだけ幸せに過ごすか。幸せ=お金・名声・地位じゃない。どれだけ優しい暖かい気持ちを持って生きていけるか。イライラしたり、悲しんだり、ひねくれたりしている時間はない。常にやさしく暖かくいられるためにはどうしたらいいのか。みんながそんな風になれば争いもなくなるんだろうな。気がついた人だけでもそうなっていけばいい。山の挨拶は気持ちがいい。沢山の人が気持ちのいい挨拶ができる。通り過ぎるときのたった一言の『こんにちわ』の中に『がんばって!』『もう少しだよ!』『大丈夫?』『おつかれさま!』『気持ちよかったね!』そういった事が全部詰まっている。そんな気持ちが日本中に、世界中に広がっていけばいいのに。。。

登山シーズンだけで約30万人の人が毎年富士山に登る。富士山を降りても富士山で感じた気持ちを忘れないで生活していきたいなと思った。富士山に登った人はみんないろんな暖かさを感じて下りたと思う。それを忘れないでいてほしいなと思った。もちろんワシも、ジェイスも。

オレグも終わり、明日の為とご来光の為にまた少し寝ておこうと思い、布団に戻る。めちゃくちゃ寒かったので、しばらく布団に入ってもガクガクしていたけど、寝ているサルにくっついていたら暖かくなった。。。そしてまたサルの声で起こされた。『マミー!!もうすぐご来光になっちゃうよ!!!』『え、うそ、、、』と慌ててもぞもぞ起きて外へ行く。しかしサルはまだ(ご来光)と言うのをみていないので、『ご来光ってご来光様が上がってくるの?』とすっとんきょな事を聞いてきて、また隣の人に笑われた。(>_<)『太陽だよ。太陽が上がってくるところを見るの。凄く綺麗だよ。それに凄く暖かい光が届くよ』・・・・・・・とは言ったものの、体感温度はマイナスなんじゃないかというくらい寒く、気をつけないと鼻が垂れまくってしまう(>_<)ホカロンを追加してもまったく暖かさを感じない。長袖Tシャツ・トレーナー・フリース・ナイロンパーカー・レインスーツも上下着込み。それでもまだ寒い。そうね。そうよね。足はスリッパだもの・・・・・・。パンとお菓子をムシャムシャ食べながらご来光を待つ。

雲が不思議な動きをしている。ここは今雲海と同じ高さ。海のように見える雲海に、思わず飛び込んで泳ぎたくなる。雲が多いのですこーん!と丸見え!というわけには行かないだろうが、ワシは雲のかかったご来光も好きだ。そっちの方が好きだったりする。雲に光が反射して油絵のように美しく見える。今日のご来光も雲の合間から。雲は多めだけどとても綺麗だった。それよりも何よりも寒い!!!寒い!!こんなに寒くて5時半に出発できなくてよ!!!ノロノロタラタラ出発準備をしていたらあっという間に6時になってしまった。なんとか思い腰を上げ、寒くてお布団にいたいという気持ちを捨て、いよいよ頂上へ向けて出発!寒いからと全部着込んで出たのだけど、やっぱ身動き取れないし、動くと暑くなるので大陽館を出てすぐのところで1枚づつ脱ぐ。なるべく立ち休憩もほんの少しにして、沢山休憩を取らないで行かなくちゃ、立ち止まった瞬間寒さに襲われてるし、10分も山小屋ごとに休んでたら、かいた汗で冷えてガチガチになってしまう。がんばってドキドキ調整だけで行こうね!と気合を入れる!入れまくる!

思っていたほど山小屋間もきつくなく、距離もなくで、あっという間に頂上から2個目の鳥居が見えたけど、ここからが大変だった。山梨側登山道と合流、そして下山道もしばらく同じで、人がいっぱいだ。風もだんだん強くなってきて、砂れきの道のため、強風と人の多さで飛んでくる小石が半端じゃなかった。ここでプールのゴーグル装着!『マミー変な宇宙人みたいだ〜ゲラゲラ〜』と笑ってるサルも十分へんな宇宙人だった(>_<)しかしゴーグルはすぐに曇ってしまって逆に危なかった。強風にあおられ、視界がなく、結構ズベズベっと滑り落ちた。平らなところの山側だからよかったけど、、、ここらあたりから遭難者の祠がどんどん出てくる。。。もしも今日もっと強風で、ガスで前が見えなかったら・・・・と想像しただけで武者震いのしすぎで尿意(>_<) 気を取り直し、常に足元をしっかり見て進むよう!前はマミーが見ておく!お前は足元を!!!と言って、サルのペースで進むためサルを前に歩かせ、すぐ斜め後ろをワシが歩き、ワシの杖で足場を確保しつつ登る。

鳥居を越えて最後の山小屋たちを素通り、へばって座り込んでいる人達が沢山いる。やっぱり目をやられた人も多いようで、見ると真っ赤に充血している人もチラチラいた。最後の山小屋より先の道は岩場が多いが、御殿場口のように岩の高さがない分楽だった。一歩で登れるとこを2歩で登るようにした。それができるくらいに道はあれでも整備されているんだろうなと思う。それでも最後の鳥居の手前は怖かった〜〜〜〜急に急激になり、おまけに風がさらに強く吹き出した。何度も何度もいわばで岩に腹をつけ寝そべらないと、とてもすっと立ていられる状況じゃなかった。サルはよろけて横の岩に頭をごちっ!とぶつけて、前を歩いていた人も思わずその音で振り返るくらいだった。幸い切れてはいないし、いつまでも痛がることもなく、その後も時々寝そべりながら片手で杖を守り、片手で岩をつかみ、口の中も結構小石だらけで、食いしばる度にガチガチ、いやな感じ。このあたりの登りになるとみんな数歩進んではしゃがみこんでいた。サルも時々座ったけど、ほとんど立ち休憩だけで進んでいる。昨日とはぜんぜん違って勇ましくさえ思う。ただ鶏頭なんで常にワシが後ろから『呼吸!!』『杖!!』『小股がに股!!!』と声をかけないと、つらい登りになると全部忘れて息も止めて登っている。辛ければつらいのと同じ分だけ沢山吸って吐いてをする。これがやっぱり一番いいようで、常に体中に酸素が入っていないともうろうとしてくるし、足も前に出にくくなる。『杖を突いて踏ん張って登る時に吐く。次のもう一歩で吸う。』常にスーハースーハーマラソンとおんなじだ。『こら!ニワトリアタマ!チキンヘッズ!スー右!ハー左!』変な掛け声と罵声が響き渡る。『マミーに聞こえるくらい大きな音を出して吸って吐いてしろ〜呼吸が乱れると足も乱れる、乱れたらまず呼吸を整えるのに立ち止まれ〜マミーのスーハーにあわせろ〜・・・・わかったか!こんにゃろ!』『はぁ〜〜〜い』こんなのの繰り返しで、今回はみんなにほほえましく?見つめられた(>_<)ワシの叱咤激励で華麗な足さばきを見せる坊主に勇気づけられたじ〜さんが何人もいただろう!!!お〜〜〜〜〜ふぉっふぉっふぉ!!(>_<;)

そしていよいよ狛犬さんも通り過ぎ念願の待望の期待の頂上だ!!先生に暑中見舞いを出すんだ!とそれも楽しみの一つでやっとやってきた。サルの胸にはどんな気持ちがぐるぐるしていたんだろうか.頂上についていったのは東京屋さん。きりちゃんが前回食べてたラーメンを食べようと行ったんだけど、どっちの小屋だかわかんなくなった。なぜなら強風と寒さのため、みやげ物が外に一切並んでいない。ガラス戸も部分部分閉められている。前回の頂上の様子とはぜんぜん違って、人はいるけどゴーストタウン・・・みたいな感じだった。人はいる・・・と言っても前回のようにはいなかったね。ラーメンとあったかいココアとコーヒーを頼み、わしも一口貰う。ちょっとね、お腹が膨れすぎ、、、めんどくさい便意まで出てきた。何がめんどくさいって汗でぬれたスパッツと他2枚の重ね履きズボンを下ろすのがめんどくさいって言うのよ・7合目に戻るまで食べなくていいや、、どうせ5合目にも泊まるんだし、ちょっと控えよう。。。。でもうまかったけど、あれはやっぱりインスタントラーメンの(ラーメン屋さん)のお味。。。でもうまかった。サルがあんまり美味そうに食べているせいか、米軍基地に沖縄からいっぱい軍人が入っていると聞いたので、軍人だと思うけど、まだ沖縄にも入ったばかりの人じゃなかろうか?サルが食らいついてる物を指さして『アレハナンデスカ?oh。ら〜め〜ん。I'll take that』と頼んでいた。同じブラック系同士、やつがあんなに美味そうに食べてるもんならオレも美味いだろう・・・と思ったかどうかはしらないけどさ。結構日本のラーメンを好きな外人は沢山いるのよね。ヤキソ〜バ〜も結構人気だ。

・・・なんて事をぼけ〜と考えていると東京屋の兄ちゃんが『おつかれさま〜今日はまだ1℃くらいはあるからいいけど、昨日は悲惨だったよ〜今日のご来光の時間も悲惨な寒さで、みんなご来光どころじゃなかったよ。でも危ないからお鉢めぐりはよした方がいいかもよ。風はまだ強くなると思うからね』『おおう。そうか、、、残念・・・じゃー郵便局のとこまでがんばって行ってはがきを出して下りよう』とサルに言ってると東京屋のにーちゃんとじーちゃんが『残念!!!郵便局の人はもう20日でみんな降りちゃったよ』とたんに泣き出すサル・・・・・・・・・・しくしくとさめざめ泣いている(>_<)『先生のはがきが出せない・・・・出せないよぅ〜〜〜〜』もうちょっとやそっとじゃ立ち直れない、、、ラーメンも食い終わっちまった・・・すると東京屋ドレッド兄ちゃんが『東京屋のスタンプがあるから、それ頂上!って書いてあるからさ、それ押して下からはがき出せばいいじゃん。ね、ぼく。そしたら頂上から出したのと同じだよ』・・・と慰めてもらっても、サルには意味がないのだ。。(頂上のポストに入れたかった)この一点張り。でもスタンプを押してもらうとそれを見て、少し納得。『先生に頂上の安産のお守りを買って行こうよ!』と言うと。さらに納得でやっとご機嫌が直る。

来年は頂上郵便局がなくなるかもしれないと、東京屋のじ〜ちゃんが言ってたな、、、、残念だよね。。。子供なんかはそれが楽しみだったりする子が多いだろうし、毎年元旦に届けてもらえるように夏に登って年賀状を持ってくる会社とかあるんだってよ。民営化だからですくゎね?せちがらいね〜〜い〜〜〜続けろこんにゃろ(>_<) 焼印を押してもらって、参拝して、『無事頂上にくることができました。ありがとうございます』と、手を合わせうるうる。先生・ななみちゃん・ワシ・サル・ばーちゃんのお守りを買って、おみくじを引いて、噴火口を覗きに行く。ワシらがたった所はあとから気がついたけど、前回きりちゃんとお鉢めぐりをした時に反対側から見て、『すごーーーーあそこ怖くないかい?よくあんなところいけるよね。ひーーー』と思っていたところ。須走口から来ると別に普通のとこだけど、反対から見るとばきっと割れて崩れ落ちそうなところ・・・・おほほ。。。『すごいね〜でかいね〜』と興奮で覗き込むのはいいけど、風が半端じゃなく強い。うきょーーーーうきょーーーーーと言いながらヨタヨタ風に流されそうになる馬鹿親子。うきょーーーーーー!!

砂走を下りるための準備もする。いっぱい着込んでいるのでそういった準備をするたびに、息は小錦並みだ・・・・・ぶほ〜ぶほ〜ぶぼ〜〜〜ひ〜。さてスパッツもつけたことだし、行きますか、サル。まだ頂上に居たい?と聞くと、『寒いからいいよう。。。もう行く。今度また来る。今度はあそこにも登る』・・と剣が峰を指差す。『いいかい。下りるのは凄く楽だよ。でも止まらなくならないように気をつけて前を見てね』と言い聞かせ出発。そういえば、前回きりちゃんと下りたときにぁふぉなワシらは『リズゥム!』と言いながらリズミカルに下りたのだけど、『それはジェイスには言わないほうがいいね。。。危ないから。。。』と話していたと言うのに、ワシッたら・・・言っちまった・・・・言い終わらないかのうちに『リズゥム!リズゥム!リズゥム!』と叫びながら、どんどんすっ飛んでいく。いつ落ちるかとひやひやしながらワシも同じスピードで走り下りていく。その時だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!思い切り大きなカーブのところでワシが先に追い越し止まって振り返った瞬間、まったく止まる気配なしに下りてくるではないか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜『ごりゃーーーーーーーーーーーとまれバカヤローーーーーーーーーーーー!!!』・・・・・・・・・・・・・・・・シーン・・・シーン・・・シーン・・・あと2歩で落ちていたね。落下だね。ごろごろ岩に頭ぶつけまくって即死だね。『ばぁーーーーーーーっきやろーーーーーーーー!!だからさっき言っただろうがーーーー!!お前あと2歩で落ちて死んでたぞ!!!この!ニワトリめ!!!!!』ゼイゼイ、、ハアハア、、、、そうか、、、これで亡くなる人もいるんだ・・・・・・・もしも視界が見えなくて、カーブに気がつかなくて。ふざけてスピードをつけすぎて、止まれなくて・・・・・その時はそんなに恐怖は引っ張らなかったけど、菊屋に泊まって、夜中暑くて目が覚めて、目が冴えてしまった時に思い出して、ブルブルきちゃいましたね。(よかったよ〜〜〜落ちなくて、、、あん時落ちてたらいったい、、ワシは、、、、)怖いやら、腹立たしいやら、なにやらかにやらで、寝てるサルの尻を引っぱたきましたがな。(>_<)

7合目が近くなると少し大きめの岩が出始めるので、もうさっきのようには走れないよといって、ゆっくり歩いて下りる。このくらいからサルは後ろを振り返り始める事が多くなる.ちょっと前までおおはしゃぎ、くっちゃべりっぱなしだったサルが静かになる。
『何だ?お前?またゲロ?』と聞くと
『そうじゃないよ。ほんとにベイビーが登ったのかな〜〜〜って不思議になってきちゃったんだよ〜
だって、あそこだよ?あんなとこに行ったの?しんじられな〜い〜』
『そうだよ。ベイビー一人のがんばりだよ!ベイビーがベイビーの足だけでがんばって登ったんだよ!
ま、昨日リュックはマミーが持ってたけどね(-_-)ギロッ!
でも歩いたのはベイビーだよ。ベイビーが自分で自分だけの力で登ったんだよ』
『がんばればこんなにすごいこともできちゃうんだね』
『そ。お前は今まであんまりいいろいろがんばらなかったでしょ。できないとすぐキーーーっと怒って、
もういいよ!やんないよ!やだよ!って言ってすぐ泣いてさ、でもベイビーは富士山に登れたんだよ。
大人でも登れない人が居る富士山に登れたんだよ!
ゲロ吐きながらさ〜泣きながらさ〜一歩一歩がんばれたんだよ
もうこれで何でもできるね。いつでも富士山に登ったことを思い出してがんばれるね
一生懸命がんばれば、必ず目標のとこにいけるんだよ。
がんばったけど目標のとこにいけないこともあるけど、それはやっぱ少し頑張りが足りないからなんだよ』
『うん。わかったよ〜ベイビーはカメさんで一生懸命がんばるよ〜そしたらこんなにうれしいんだよね〜』
『がんばってもがんばっても苦しいんだけど、あとでうれしいんだよね。』
『ありがとう。ふじさんだね。マミー言ってたんでしょ、きりちゃんと〜。でもふじさんはふしぎさんだね。ほんとに(>_<)』

通り過ぎる遭難者の祠にも手を合わせ、落ちてしまった鈴を直してあげなくちゃ・・と拾い
『みんなの分も登りました。がんばりました。』と言っている。
『みんなはずっと富士山にいるのかな?』
『こないだの御殿場口の時のベイビーみたいに暗くなっちゃって、寒くなっちゃって道がわからなくて怖くて怖くて死んでしまった人もいるだろうし、
さっきのベイビーみたいにキャーキャーはしゃいでゲラゲラ笑いながら、そのまま落ちて死んでしまった人もいるだろうし、
いろんな人がいると思うけど、みんなここにいるんじゃないかね。
もしマミーだったらずっと富士山にいるだろうな。
死んじゃったけど富士山は好きなままだから、ここにいよう・・って思うかもね』
いろんな話をしながら下りる親子二人の登山。。。なかなかよろしい時間。

話し合うたびに二人してうるっと来るのはなんなんだろうか?普段の生活でこんなに沢山話す事はない.特にこんな生き死にの話なんてしない。子供と二人でこうやって過ごすことができて感謝している。富士山はやっぱり危険な山だ。すぐそこに死があるんだよな。。。

 

Next>>>

 

<<back to index

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送